2018年03月23日
Stove-C for riders

長い間燻っていた断片的なアイデアが、ようやくプロダクトとしてカタチになる。
シンプルであるがシステマチックなもの・・・
踏襲であるが革新でもありたい・・・と、
少しづつ少しづつ時間をかけ(否、時間がかかり...か)
仕上げたサークルのアップデートバージョン
Stove-C for riders
以下、各々説明・解説をしていきますが、重複する表現等あること、
予めご了承下さい。
*シンプルであるがシステマチックなもの・・・
特別なギミックがあるわけではないが、今までありそうでなかった
何気ないと思えるいくつかの事を何気なくできる、ということが
ある意味このStove-C の大きな特徴かもしれない。
それは、焚火・調理・片付け(灰処理等)それぞれのシーンで
フィールドギアとしてのシンプルな使い易さという意味であるが、
その辺りは各々の項目ごとに後述する。
一見、パーツの多さから組立ても複雑で煩わしいものに
思われるかもしれないが、組上がりのイメージがあれば取説が無くとも
直感的な組立ても可能だと思う。

(シールドなしの状態)
それぞれのパーツは支え合い、補い、フィールドギアとして作用し、
円滑でシステマチックな燃焼と調理を実現してくれるだろう。
環境が許せばシールド無しでも焚火は可能である。
しかし、Stove 本体の耐久性・周囲への安全性・燃焼効率・調理方法の選択に
影響を及ぼすことになるだろう。
シールド装着はこれらの懸念される問題それぞれをクリアしてくれる
大切なパーツなので、使用時には必ず装着して頂きたい。
*踏襲であるが革新でもありたい・・・
Stove-C はサークル製作時の方向性を引き継ぎ、
さらに進化させたアップデートバージョンである。
どんなギアにもメリット・デメリットは混在し、
また、人や環境によってもそれは曖昧なものであると云ってしまえば
身も蓋もないが、少なからず自分の使いたいものを企画できる
環境にいるワタシにとって、過去の気になる点は
改善できたのではないだろうかと思っている。
NakedLabo の新たな提案のひとつとしてロストルの構造がある。
よく目にするパンチングプレートやメッシュ構造を使ったロストルも
使い始めはともかく、長時間の連続燃焼で目詰まりを起こし、
その形状素材を選択し加工した意図とは違った状態での焚火を
行っているのも事実ではないかと思っている。
Stove-C は灰や小さな熾きを 『積極的』 に落とし、
常に下からの空気の流れを確保しつつ、
安定的に長時間の燃焼を可能にしたいという方向性をとっている。

(落ちた熾きも温度低下しにくい環境下で、灰への移行もスムース)
さらにかみ砕けば、その 『積極性』 の大小・強弱は様々なギアごとに
振れ幅はあるものの、Stove-C に当てはめるとすればそれは
『大であり強』 であるということだ。
この 『積極性』 は、少なからずあまり目にすることのない
視点ではないだろうかと思うとともに、
NakedLabo 独自の新しいロストル形状は、
今回のアップデートの特筆すべき提案のひとつだと思っている。
*デザイン

(サークル)
サークルのアップデートバージョンとはいえ、
サークル(円)とはかけ離れた形状ではあるが、
方向性を引き継ぎつつA4 サイズからの展開・ロストル形状の実現には
このデザインがベターであると判断している。
(因みにStove-C のC は、circle の頭文字である)
for riders とあるが、今回の製作はオートバイでのキャンプ装備を意識した、
サイズ感・重量でのセッティングにしたつもりである。

特に重量に関しては、フレームの耐久性を優先し
あえて肉抜きを行っていない。
試作の段階で肉抜きバージョンも製作しているので、
どの程度の軽量化が可能であるかは確認しているが、
やはりオートバイでの移動・少々タフな扱いを想定し、
肉抜きしない耐久性を優先したバージョンを採用している。
ロストルとオーブンスペースというサークル同様の構造に加え、
Stove-C はシールドを追加している。
これで、サークルではひと工夫必要であったオーブン調理のレベルアップが
容易になった上に、空気の流れを調整することで下部からの
空気流入(上昇気流)・ロストル周辺の温度低下を抑えることが期待でき、
サークルでは実現できなかったレベルの調理・燃焼効率が
生まれていると思う。

材質はステンレスではあるが、このシールドにおいてはsus304H、
いわゆる曲げに強いバネ材というものを採用している。
Stove-C 組み立て時に唯一、曲げながらはめ込むという作業が
必要となるポイントなのだが、組み立てに必要とされる程度の曲げであれば
全く気にすることはない。

(シールドを曲げながら差し込む)
五徳は薪の供給・調整を考慮し、あえて中央部でのクロス設置は
取り入れていない。
クロス設置のほうが比較的大きめのクッカー等にも対応可能になるだろうが、
焚火の維持はオーブン調理を行う上でも絶対条件である為、
ここは薪の供給・調整のしやすさを優先している。
とはいえ、五徳中央部には切り欠きを施している。
これはクロスに組み合わせ、オーブン使用時のベースとして
利用できる為であり、インストールするもののサイズにも関係してくるが
地面から距離をとることにより、輻射熱をより全体に充てようと
意図したものである。

(五徳フレームをクロス設置し、バウルーをインストール)
パーツの多さや組立ての手間等、マイナス面を指摘する方々はいるだろう。
しかし、それらを補うプラス面もバランス良く兼ね備えている
Stove-C ではないかと強く思っている。
*焚火・安全性
Stove-C for riders で使用する薪は、
手首程度もしくはそれ以下の太さのものや
枯れ枝等での焚火を前提としている。

(試作品によるフィールドテスト)
キャンプ場等で手に入る長さや太さの薪も使用可能ではあるが、多くの場合、
長さの関係上シールド3枚(面)仕様のほうが扱いが良くなると思われる為、
調理等を考慮したフル装備の4枚(面)仕様を選択する場合、
薪のカットが必要となる場合がある。
先にも述べたStove-C の特筆すべきロストル形状により、
灰や小さな熾きは自然または薪の供給・調整時に落とされ、
下部からの空気流入のスペースを確保することで安定的な燃焼が期待でき、
さらに落ちた熾きは温度低下のしにくい環境のオーブンスペース内で
灰に移行するまでの燃焼もスムースに行えるというシステムである。

(キャンプ場等で手に入るサイズの薪も使用可能)
構造上灰や熾きはオーブンスペース中央部より、
シールド側に多く落ちるようになっている。
これはオーブン使用時の効率や利便性を考慮したものだが、
長時間の使用経過で溜まっていく灰も中央に寄せる等の対応で
シールドの長丸孔からの吸気も確保できるだろう。
その時点で調理との兼ね合いや調整が必要となるが、
テストの度に行った8~10 時間の連続使用中も
特に苦になってしまうという印象は無い。
さらに付け加えるなら、灰や熾きの落下のほとんどはStove 内に
収まるようになっている。
当然、強風時の焚火は厳禁であるという前提なので、
焚火ができるレベルの多少の風であればシールドによる保護により
周囲への飛散・火災等のリスクは充分にクリアできていると考える。
Stove-C のフィールド保護対策は、付属のステンレスベースプレートと
シリカクロスを併用し2 レイヤーで行う。
ステンレスベースプレートは、板厚 0.1mm でシールド同様のバネ材を使用し、
二つ折りに収納でき、本体フレームの脚部が入るようカットが入っている。
これにより、プレートと本体がズレることなく使用できることになる。
またプレートからの熱伝導・輻射により、インストールしたクッカー等への
加熱補助も期待できるので、インパクトの軽減と調理補助が可能となる。

(4 箇所の切り欠きに本体フレームを合わせることでズレが防止できる)

(形状維持のための片面有機系樹脂コーティング仕様のシリカクロス)
シリカクロスは、形状維持の為に有機系樹脂コーティング(片面)を施したものである。
耐熱温度 約1000℃ の耐熱シートであり不燃でもあるので、
落ちる熾きや250℃ 以上の環境下も可能なオーブンスペースにも
ステンレスベースプレートと併用することで十分対応できるスペックであると考える。
使用経過で変色を起こす場合があるが、
耐熱温度の低いシートにありがちな生地の硬化や割れ、穴あきもなく
柔軟性を保ち繰り返しの使用が可能だ。
しかし、上記スペックがあるとしても消耗品であることは理解して頂き、
ステンレスベースプレートと共に使用して頂きたい。

(250℃まで計測可能計器なので、この後エラー表示に・・・)
さらに、あくまでもインパクトの軽減であるので、
フィールド環境に応じて追加の対策が必要となる場合があることは、
予めご了承頂きたい。

(シリカクロス➡ステンレスベースプレート➡Stove-C の順で設置)
繰り返すが、焚火を行う際には当然のことだが、
フィールド状況によって追加の対応や、
草や落ち葉等への配慮が必要となることは云うまでもない。
この二つに加え、更なる追加対策としてステンレスバットを
利用するのもいいのではないだろうか。
調理の際の出し入れにも便利そうではある。
あくまでも、一例だが・・・。
『ステルスキャンプ』 という言葉の定義は様々だが、
痕跡を残さないという視点での 『ステルスキャンプ』 は、
現在の焚火事情の在り方を鑑みても重要なものに思えてならない。
焚火マナー向上にも沿える Stove-C であればと願っている。

(広葉樹薪 2,5 束、針葉樹薪 1 束 燃焼後)
*調理・オーブンスペース
Stove-C による調理方法の選択肢は基本的に、
焚火による直火調理とオーブンスペースを使い、輻射熱をメーンに利用した
オーブン的調理となるだろう。

(蓋の代わりにアルミホイルを使用したスキレットをインストール)
これはサークルと使用感を比較してみても、
格段に向上しているという実感がある。
その要因を挙げれば、オーブンスペース内の空間が拡がり、
フィールド状態にもよるが底が平面になったことに加え、
ロストルの形状やシールドの標準装備により多方向からの熱供給が
可能になったことにあると思う。
そしてオーブンスペース使用の利点として、焚火を利用していながらも
煤汚れを気にしないで済む調理が可能であるということだ。
これは、その後の面倒なことをしないで済むという大きなアドバンテージに
なると感じる方も少なからずいるだろう。
それは湯沸かしメーンのメニュー(カップ麺・フリーズドライ・レトルト等)であれば
さらに顕著なものになるのではないだろうか。
ただし、オーブンスペースの高さ90mm というサイズ感の制約はあるので、
インストールできるものはそれ以下のクッカー等になる。
付け加えるなら、落ちる灰や熾きを考慮しリッド(蓋)等も必要となるだろう。
さらにサークルと比較してみれば、アルミとの相性も向上していると思う。

(アルミポットをインストール)
ステンレスやチタンに比べれば、若干時間はかかる印象はあるものの、
湯沸かしも可能であることはテストで確認できている。
イメージとして、焚火上でグツグツと沸き立つようなものではなく、
ある程度の高温を維持しつつ、静かに沸くといった感じだろうか。
焚火上で湯沸かしをしたのはいいが、すぐに使うわけではない場合や
あとで使うといった場合には、オーブンスペース内に入れることで
容易く保温状態に移行することが可能である。
何気ないことではあるが、これは Stove-C の特徴でもあると思う。
ロストルやオーブンスペース内の構造等の要因はあると思うが、
とにかくアルミとの相性向上でオーブンスペースの使用幅は、
サークルより確実に拡がったのではないだろうか。
調理の際、食材をインストールする前に薪の補充と調整を行っておけば、
比較的灰や熾きの影響を回避できるのではと思っているが、
裏ワザ的なことを云えば、ホームセンター等でも手に入るステンメッシュシートを
A4 サイズ位にカットし、山なりにR をつけ、オーブン内にインストールすれば
むき出しの食材(塊肉等)にも灰を気にすることなく熱を加えることが可能だろう。
A4 というサイズは、ほぼStove-C for riders の収納サイズでもあるので
負担も少なく持ち出せるのではないだろうか。
シールドは3 枚(面)仕様でも問題無いが、
調理の効率を考慮するのであれば4 枚(面)仕様が良いだろう。
個人的感想を云うならば、3 枚(面)仕様+1 枚の片方だけを差し込み
開閉自由の使い方が何かと勝手が良いように思える。

先にも述べた薪との干渉にも関わってくるので、
各々の使い勝手次第というのは云うまでもないことだが・・・
*最後に
長々と説明・解説を書いてきたが、
この長文・乱文でStove-C for riders が提供できるであろう使用感を
お伝えできているのか不安である。
ただ、今回の製作にあたり 『焚火を愉しむには...? 』 という
単純とも思える自問自答を経た今のNakedLabo 独自の
純度の高い答えを落とし込んだフィールドギアです。
薄いA4 サイズから展開されるバージョンアップを果たした
Stove-C の可能性を皆様のキャンプシーンで感じて頂けたらと願うばかりです。
Stove-C for riders
手首程度の薪や枯れ枝、キャンプツーリングでのパッキング、
ソロまたは少人数での焚火をイメージしたセッティングです。
サ イ ズ 使用時 280×290(五徳使用時 292) ×H 200
収納時 約A4
材 質 sus304/304H
重 量 約 760g (本体+五徳)
耐 荷 重 五徳 1kg
付 属 品 Tyvek® (収納用)
ベースプレート sus304H
シリカクロス(耐熱シート) 耐熱温度 約1,000℃
約300×400×0.7
有機系樹脂コーティング(片面)
注)シリカクロスの白(シルバー)面にベースプレートと本体設置
価 格 ¥29,800- (税抜、配送料別途)
今後、予約受注販売を行う予定。
予約受注開始日程、期間、発送開始予定等
詳細は後日あらためてお知らせさせて頂きます。
以下、組立て手順、使用イメージが確認できる映像ですので、
気になる方はご参照ください。
追記
18,5,4 ~仕様及び価格変更をしております。
こちらをご確認ください。
Posted by NakedLabo at 15:07│Comments(0)
│Stove-C