2018年07月22日
業界初 Hybrid Stove カグツチノイス
Hybrid Stove 「カグツチノイス」
NakedLaboが提案する、焚火ギアの常識を覆す革新的方向性。
「カグツチノイス」は、焚火ギアとしておそらく初めてとなる
カーボンとステンレスを併用して製作したハイブリッドストーブである。
カーボンは、宇宙、航空、自動車、医療、製造、スポーツ等様々な分野で素材利用されており、
軽量で耐久性の高いものだと周知されているのはご存知だと思う。
(正面をオープンにした椅子のようなデザイン)
一言でカーボン素材と云っても様々なのだが、
この「カグツチノイス」で使用するカーボン素材は、高い強度を持ちながらも比重が
*¹ 鉄の約1/4~1/5、アルミニウムの約2/3、チタンの約1/3程度で
比重において比較すればチタンよりも軽く、
真空・不活性雰囲気下において2,000℃以上の耐熱性があり、
高温環境下での熱寸法安定性が極めて高いので熱による膨張、変形に非常に強いものだ。
ただ、この耐熱性の高さは真空・不活性雰囲気下においてであり、
大気中では著しく低下していまうのだが、
耐酸化処理を施しステンレスを併せて使用することで
ストーブとしての利用を可能なものにしている。
(ステンレスを併用)
「カグツチノイス」を金属のみで成立させるなら、
熱変形を考慮した加工が必須となってくるだろうが、
同時にシンプルな形状だからこそ熱変形を抑えることが難しいとも云える。
云ってしまえば、「カグツチノイス」は熱変形を起こしやすいデザインなのだ。
しかし、このカーボン素材の高い強度と熱寸法安定性のおかげで
熱変形を気にすることのないシンプルでフラットなパーツ形状を成立することができている。
また、この素材の特徴として繊維方向により僅かな柔軟性があり、
表面は面出しをしていないので厚みムラが生じている。
この厚みムラは「カグツチノイス」で採用している *² 規格1.2mmよりマイナスではなく、
つまり薄くなるのではなく厚くなる方向で0~+0.8程度生じている。
その為、初めは若干の組立て辛さがあるかもしれないが、
これは回数を経ていけば解消されていくだろう。
そして、先にも述べたがこのカーボン素材には耐酸化処理というものを施している。
これに関しては後述しているものも参考にして頂きたいが、
大気中高温環境下での酸化耐性を高めるものである。
このカーボン素材は多孔質素材であるため、
耐酸化処理剤が中まで浸透して若干重量増になってしまうのだが、
今回のストーブ使用において重要な加工のひとつであることは間違いない。
(フィールドで集められる枝をカットする必要がない)
そんな素材を使用した「カグツチノイス」は、
4枚のパーツ構成でシンプルな組み立て式のデザインだが、
周囲のストーブとの更なる差別化を提案している。
(4枚のパーツを使ったシンプルな組立て)
一見小さな可愛らしいイスにも見える形状とカーボン/金属の組み合わせは、
前もっての情報がなければ焚火に使う道具と思わないのではないだろうか。
「カグツチノイス」は、正面をオープンにして、枝を寝かせて置くのではなく、入れるのでもなく、
「たてかけて燃焼させる焚火のカタチ」を提案している。
そして、そのカタチの自由度は非常に高く、
手間と労力を激減させるとともに燃料となる枝の長さもちろんのことだが、
太さを気にすることなく使えることだ。
(枝の長さや太さを気にせず使える)
枝の先端を燃焼させ、その都度奥へと入れ込んでいく方法は今では珍しくないギミックだが、
ウッドストーブの常識である箱型・円筒型においての開口部確保は、
どうしてもサイズ的限界が起きてしまう。
「カグツチノイス」が目指した焚火は、
チムニーや二次燃焼による火柱的炎を作り出すものではなく、
必要以上の枝を使わず、過不足ない程度の大きさながらも
焚火本来の姿を愉しめるものである。
(正面からの空気流入があるため、手前への燃焼が進まない)
背板と火床には角度がついており、
両サイドには風防・熱反射・空気の流れを調整する役割のプレートがあるので
手前への燃焼が進まず、灰落ちも少ない上、風にも強く、
安全性の高い焚火が愉しめる形状である。
組上がりも1.2mm厚のカーボン素材をベースにしている為、
薄く小さいながらもしっかりとした安定感を感じるだろう。
「カグツチノイス」は、カーボン素材を使用した単なる新規性や
軽量化だけを目指したものではない。
このデザインを維持しつつ、実用性・安全性・使いやすさ・耐久性
・携帯性・軽さのバランスを追求したつもりである。
そして、そのバランスは他に類を見ない高いレベルで実現できていると思っている。
(小さい炎ではあるが焚火の趣を愉しめる)
枝をたてかけて置くことで起こる効率の良い燃焼もそうだが、
安定燃焼が始まれば正面からの空気流入に加え、
4面の空気孔からの流入もあるので安定的な酸素供給が可能である。
リフレクターを使い焚火をされたことのある方は体感していると思うが、
どんな素材であれリフレクターの有無の差は大きいと思っている。
「カグツチノイス」は、一般的にウッドストーブと呼ばれる程度のサイズ感だが、
正面がオープンであること、また背板があることによりリフレクター的役割も期待できるので
焚火で暖を取るというシーンでは周囲のストーブに比べて有効だろう。
調理もお手持ちのチタンペグ2本(2~3mm)を五徳として使うことで可能である。
そして、何より焚火本来の趣を愉しめるストーブではないだろうか。
色々な効果を考慮して熱源を囲いがちになるウッドストーブだが、
この「カグツチノイス」は小さい焚火の雰囲気を愉しんでほしいという思いで製作している。
ワンアンドオンリーの未だ誰も踏み入れたことのないストーブの世界。
「カグツチノイス」 「燃える枝」 「立ちのぼる炎」
火の神「カグツチ」の座する佇まいをくつろぎ眺めながら、
是非一献酌んで頂きたいと願っています。
*¹ 比重比較は耐酸化処理を施していないものを比較した場合です。
*² 画像は2.0mmを使用したサンプルです。
*「カグツチノイス」のカーボン素材はなぜストーブ使用が可能か。
「カグツチノイス」で使用するカーボン素材は、
真空・不活性雰囲気下では2,000℃以上の耐熱温度を持つが、
大気中においては著しく低下し約400℃程度と云われている。
この400℃以下の環境であればそのままの使用でも全く問題ないのだが、
ストーブで使用するにはどこか心許ない数字である。
では、なぜこれほどまでに耐熱性が低下してしまうのか。
これは大気中での高温環境下では炭素が酸素に反応して酸化が進み、
二酸化炭素に変化していくことに原因がある。
「カグツチノイス」では、熱ストレスが想定される燃焼スペースをステンレスで
挟み込むように覆うことで積極的な大気との接触を抑えるとともに、
直接的な熱影響を軽減し、さらに耐酸化処理を施すことで酸化耐性を上げ、
真空・不活性雰囲気下での2,000℃以上には及ばないが、
大気中におけるカーボン素材の耐熱スペックを格段に引き上げることで、
ストーブでの素材使用が実現できているのだ。
NakedLaboではフィールドテストはもちろんだが、別途独自の素材テストも行っていて、
カーボン素材を「カグツチノイス」同様ステンレスでサンドした約5cm角のプレートを用意し、
シングルバーナーによる強制的な連続加熱テストを行っているが、
カーボン素材に変化はみられない。
また、これはカーボンメーカーの施工実績である製造メーカーの一例であるが、
大気中1,000℃の熱環境で使用している為、
定期的に交換しなければならなかったステンレスパイプの中に、
このカーボン素材のパイプを芯材として封入したところ、
3年経っても継続して使用できており、
確認の為取り出したカーボン素材に変化は見られなかった、という例もある。
「カグツチノイス」において、日々の1,000℃という過酷な使用環境は全く現実的ではないのだが、
この使用実績は非常に参考にさせていただいた。
ちなみに耐酸化処理剤は1.2mmのカーボン素材内部ほぼ全てに浸透するので、
小口(カット面)にも有効となる。
おそらく、ステンレスの取り付け状態に違和感を覚える方もいると思うが、
これは装飾的デザインでもなくカーボン素材使用において
非常に重要で必要な加工というわけである。
近日中に予約受注販売を開始致します。
カグツチノイス
サ イ ズ 使用時 約140×150×H151
収納時 約151×140×H12
材 質 C/C Composite (耐酸化処理) sus304H/sus304
重 量 約230g
製 造 国 日本
予定販売価格 ¥25,000- (税、配送料別)
*重量は個体差があり、耐酸化処理剤の浸透状況で変動します。
現在、カーボン業界の世界的な在庫不足の影響で、
素材確保に4~5か月ほどかかってしまう状況です。
その為、発送はそれ以降となってしまいます。
納期が早まる可能性もありますが、
加工・組立て・発送となれば現時点で概ね5~6か月待ちとなってくる予定です。
大変お待たせすることになりますが、予めご了承ください。
最後に、「カグツチノイス」製作にあたりご協力頂いた関係者各位、誠にありがとうございました。
全くの異分野にもかかわらず興味を持って頂き、
度重なる質問責めにも丁寧かつ的確な情報・アドバイスを下さったカーボンメーカーのN氏。
カーボン素材使用のきっかけをつくって頂いたレーザー加工会社の社長及び工場の方々。
特に、度重なる変更変更の連続に対応して頂いた担当のK氏。
無事「カグツチノイス」をリリースするところまで辿り着けました。この場を借りて御礼申し上げます。
そして、今後とも宜しくお願い致します。
NakedLabo 伊﨑 文俊